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Hitachi

IちゃんとPパパの会話が続きます。

イラスト

Pパパ

今日は何を聞きたいのかな?

Iちゃん

パパ、以前「IPv6」(注1)の話を聞いたけど、IPアドレスが枯渇するので、IPv6が生まれたんだったよね。
今はIPv4とIPv6が両方使われているんだよね。
IPv4は、いつ無くなるのかしら?

小野田君

そうですね。
私もIPアドレスの動向なども含めて教えていただきたいです。

Pパパ

図1 無くなるIPv4アドレス
無くなるIPv4アドレス

そうか。いいとも。
結論を急ぐとね、「IPv4が無くなるXデー」はね、「2011年2月5日」と言われているんだよ。(図1)

Iちゃん

えーっ!2011年って「アナログテレビが使えなくなる年」だよね。(図2)
はは、でも関係ないか!(笑)

Pパパ

図2 アナログTVの廃止も同年
アナログTVの廃止も同年

IPv4アドレスは32ビットでできていて、最大43億弱と教えたが覚えているかな?
そのうち、未割り当ては6億5千万くらいあるんだが、年間2億個くらい消費されるので、2011年に無くなる計算になるんだね。

小野田君

わぁー!そうすると、そのままでは「インターネットが行き詰まってしまう」んじゃないの?

Pパパ

そういうことだ。
なぜインターネットの成長が止まるかといえば、次の3つだ。
(1)サービスを追加する目的でインターネットにサーバを用意するには「新しいIPアドレスが必要になる」こと
(2)バックボーンを構成するルーターは、ポートに1つずつアドレスが必要であるが、アドレスが無くなると、ルーターや回線を増設できないこと
(3)アドレスがなくなると「新規ユーザー」を増やすことができないことということだ。

小野田君

すると、IPv4アドレス不足で「即インターネット成長停止」ですか?

Pパパ

いやいや、それがね。IETF(注2)というインターネット検討組織では「延命策」を考えているんだよ。
勿論、それも長い間は無理なので、究極は「IPv6アドレス利用」ということになるんだがね。

小野田君

お父さん、では、今日はその「延命策」を教えてください。

Pパパ

良いけれど、少し難しい話になるので、よく聞いてくれよ。
IPv4インターネットに「キャリア・グレードNAT(ナット)を導入」するのが「延命策」だ。

Iちゃん

NATって何?

Pパパ

Network Address Translationの略なんだが、このNAT機能は、いま、ほとんどの家庭用ルータ、SOHOルーターには入っているんだ。その機能は
(1)世界のIPアドレス不足を多少ペースダウンできる
(2)家庭内から簡単に複数のパソコンをインターネット接続できる
(3)コンピュータウィルス(ワーム)から家庭内ネットワークを守ってくれる
などだ。

Iちゃん

NATを使うとなぜIPアドレス不足がペースダウンできるの?

Pパパ

IPアドレスには普通にインターネットに使われる「グローバルアドレス」と誰でも勝手に使ってよい「プライベートアドレス」があってね。
そうだ、例えるなら「PBXの外線番号と内線番号」のようなものだ。

プライベートアドレスは、インターネットに直接接続しないこと、という決まりがあるんだ。(PBXもそうだろう。発信者番号は外線番号だよね)
プライベートアドレスをインターネットに直接繋いではいけないが、グローバルアドレスとプライベートアドレスの両方を持った機器があっても構わないんだよ。

このことを、図3で説明しよう。

図3 プライベートアドレスとグローバルアドレス
画像 プライベートアドレスとグローバルアドレス

<補足>
1.サーバ内のNATがアドレス変換を自動的にやってくれる。
2.このため、プライベートアドレス空間のコンピュータは、何も考えずにインターネット通信ができる。

Pパパ

つまり、NATを使うことによって、1つのグローバルアドレスで複数のコンピュータが同時にインターネットを使えるというしかけだね。
このために、アドレスの消費量を軽減できるのさ。

閑話休題。
キャリア・グレードNATも企業ネットや家庭内で使われているプライベートアドレスの範囲をプロバイダのアクセス範囲まで拡大することで、グローバルアドレスを節約する考え方だね。

小野田君

分かりました。
今日は、IPv4のアドレスが、2011年には無くなること、IPv6に移行するが、IPv4の延命策に「キャリア・グレードのNATでIPv4のアドレスを節約する」ってことを勉強しました。

Iちゃん

でも、それって根本的な解決策ではないし、いつまでも続けられないよね。

Pパパ

ほほー!鋭いねー。
そのとおり、この「延命策」では「問題点もある」し、アプリケーションによってはキャリアグレードNATを超えられないといった限界があるので、「IPv6」への移行が必須になるんだよ。
その辺は、次回、説明しよう。

注1
IPv6の説明:この「IPよもやま話」の第5回目で、IPv6の概要をを説明したので、バックナンバーから再読願いたい。
注2
IETF:Internet Engineering Task Forceの略。インターネットの標準化組織。インターネットの標準化を統括するIAB(Internet Architecture Board)を補佐する。TCP/IPなど,インターネットのすべての標準仕様はIETFで作成する。IETFが作成した仕様をRFC(request for comments)と呼ぶ

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