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Hitachi

I(愛)ちゃんとP(パパ)とO(小野田君)の会話が続きます。

イラスト

Iちゃん

今日は前回の続きで「LPWA(Low Power Wide Area)」の話よね。
小野田君、私に分るようにお話してね。

小野田君

はい。頑張ります。
では、LPWAのおさらいと整理をします。
LPWAとは、

  1. LPWAは、「Low Power Wide Area」の略で、その名の通り、少ない消費電力で、km単位の距離で通信できる無線通信技術の総称です。
  2. (前回お話しましたが(「第145回 IoTを活用したマンホール監視とLPWA」 参照))機器のバッテリー消費を抑えながら、データを収拾する基地局まで電波を届けることができることで、特にIoT(Internet of the Things、モノのインターネット)向けなどに有用な技術であるということが注目を集めているんですね。
  3. 2017年現在、免許不要周波数帯の電波を利用するIEEE802.11ah(Wi-Fi HaLow)、LoRa、Wi-SUN、SIGFOXなどいくつかの規格があり、世界各国で実用化され始めているものです。
    また、NB-IoTやLTE Cat-M1など、携帯電話に使われているLTEの周波数帯・規格を利用した通信技術もあります。

上記の3つに整理できると思います。

Iちゃん

いろんな規格があるみたいだけど、パパが前回言ったのは、今言われた中の「SIGFOXやLoRaWAN」だったけど、パパ、どうしてこの2つだけ言ったの?

Pパパ

そうだね、いろんな種類があるがこの2つが有名だからさ。
小野田君LPWAの種類について説明してくれないか?

小野田君

分りました。
表1を見て下さい。

表1 日本で導入済み、導入が見込まれている主なLPWA規格概要
表1 日本で導入済み、導入が見込まれている主なLPWA規格概要

出典:テレコミュニケーション(2016年12月号)

表1 日本で導入済み、導入が見込まれている主なLPWA規格概要

※1:
テレコミュニケーション2017年5月号より
※2:
同上

Iちゃん

種類が色々あることだけは分ったわ。
無線通信の規格はLPWAの他にいろいろあるんでしょ。それと同違うの?

小野田君

図1 LPWAの通信距離
図1 LPWAの通信距離

そうですね。
無線通信規格にはさまざまな種類がありますね。無線LAN(いわゆるWi-Fi)や、Bluetooth、Bluetooth Low Energy(Bluetooth 4.0に統合)、ZigBee、IrDA、RFIDといったように多くの規格がありますが、LPWAはそれらよりも広い範囲をカバーするんですね。

Iちゃん

携帯電話会社が、従来の無線と違ってIoTがLPWAに適しているので、新しいサービスを提供し始めたと表1にもあるけど、そのところを説明してくれない?

小野田君

はい、分りました。ざっくり携帯電話3社の動きを整理したのが、図2です。

図2 携帯電話3社のLPWAサービスの状況
図2 携帯電話3社のLPWAサービスの状況
出典:各社のプレスリリース等

Iちゃん

そうなんだ。
携帯電話3社もお客様ニーズに合わせたLPWAネットワークの構築方法や運用ノウハウを得ることで、法人のお客様が便利で効率的なビジネスの展開と、データ活用することで新たなIoTサービスの創出に役立てるように考えているのね。

Pパパ

ほほう、愛ちゃんの分析、洞察力は進化したね。
その通り、今年は各社が本格的なサービス提供の準備(実証実験など)をする年になるだろう。

Iちゃん

LPWAがIoTに適している理由を整理してくれますか?

小野田君

そうですね、分り易く言うと「電池1個で1年以上通信できる"低消費電力IoT通信技術」ということが1番目ですね。しかも「数kmの長距離通信が可能」ということでしょうね。

Iちゃん

そうね。スマホは持っても「丸一日」くらいだから1年と云うのは凄いわよね。
でも、通信距離の数kmって曖昧ね。
具体的に教えて!

小野田君

長距離通信は規格によっても異なるんですが、携帯電話のLTE通信の通信可能距離が6km程度なのに対し、LPWAは理論上、1kmから最大50kmまで可能になるといわれています。LPWAの通信可能距離がいかに長いかがわかるでしょう。

小野田君

2番目は「低通信コスト」です。
扱うデータ量が少ないので、低料金で利用できるんですね。

Iちゃん

それはIoTにとって本格普及するための必須条件のようなものね。
いいこと尽くめのようだけど問題点は無いの?

小野田君

うーん、何だろう・・・。

Pパパ

図3 LPWAは
図3 LPWAは

それは、2つあるように思う。
1つは、表1にあったように「規格がいっぱいあること」だ。
日本に導入されそうな規格だけでも5つある。有力なのは「SIGFOXやLoRaWAN」だろうと思うが・・・・。

Iちゃん

2つ目は?

Pパパ

移動中の通信や、遮蔽物のある場合の通信だろうね。
前回のIoTマンホールでは、鉄製の蓋があるのに1km超飛んだけど、樹木の多い森や林、ビル街などの都会での明瞭な通信が出来るかだろうね。
しかし、図3にあるように「鈍足だが長距離ランナー」のハイテク技術は、これからのIoT時代の通信技術としてますます注目されていくだろうね。

小野田君、良く勉強してきたね。
さらに聞くけど、海外の事例なども調べたかな?

小野田君

はい。表1にも少し書きましたが、LoRaWANについて、調べました。LoRaWANは世界で500以上の企業・団体が加盟している業界団体の「LoRaアライアンス」が策定しているオープンな規格です。フランスとオランダとベルギーなども事例があるようです。

Pパパ

新しい動きもあるようだね。
英Weightless SIGが策定した新しいLPWA規格「Weightless-P」の日本での展開が本格化するようだよ。
LoRaWANを凌駕する下り最大100kbpsの通信速度を武器に、工場などへの導入を目指す動きだ。

Pパパ

そして、もっと凄い話もある。
インドでLoRaWANを使った大規模ネットワークの構築が進んでいるんだ。インドの通信キャリアであるタタ・コミュニケーションズ(タタ)とヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)が共同で複数都市をスマートシティ(*1)化するんだ。カバー範囲はなんと、4億人にも及ぶ大規模プロジェクトで、今年2月両者は共同で、LPWA(Low Power Wide Area)技術の1つであるLoRaWANによる世界最大規模のネットワークを構築すると発表したんだね。インド国内の複数都市をカバーする大規模プロジェクトであり、第1段階として人口の約3分の1に当たる4億人をカバーする壮大な計画だ。

小野田君

凄いですね。

Pパパ

LPWAは発展途上の規格で応用はどんどん拡大すると思うね。
また、勉強する機会を作ろう。

Iちゃん

パパ、次回取り上げて欲しいテーマがあります。
「コネクテッドカー」と云う用語を聞いたことがあるんです。
少し前のテレビのニュース(*2)だったけど、殆ど内容は覚えていないんです。
これ、教えて欲しいんだけど・・・・・。

Pパパ

そうか、では小野田君頼むよ。

小野田君

えーっ、また、私ですか?
はい、分りました。私は「車好き人間」なのでやります。

*1
スマートシティ:本コラムの114回で解説済み。
*2
テレビニュース:NHKのTVニュース(H28.12.13PM7時)

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