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Hitachi

IちゃんとP(パパ)と小野田君の会話が続きます。

イラスト

Iちゃん

今日は「ビットコインの話」だったわよね。
テレビや新聞で報道されていたので、興味を持ったんだけど、中身を分かり易く教えて欲しいな。
何とかと言う会社が、多額なビットコインを消失した話も教えて!

Pパパ

図1 ビットコイン
図1 ビットコイン

いいとも。
そもそも「ビットコイン」とはね、BTC(Bitcoin)と呼ばれるインターネットで取引される「仮想通貨」のことなんだ(図1)。

Iちゃん

「コイン」だから「お金」ってことは分かるけど、仮想だと現物をお財布に入れて買い物に使うことはできないのね。

Pパパ

うん、うん。インターネット上で流通するだけだが、円やドルと換金はできるし、ビットコインで買い物もできるんだが、ゆっくり説明していこう。
何から説明しようか?

小野田君

ビットコインは5年くらいの歴史しかないと思うんですが、急激に普及し始めたのには、どんな魅力(人気)があるのかを、まず、教えてくれませんか。

Pパパ

そうだね。
なぜ人気があるか、つまりその魅力を調べると、4つあるね。(図2)

図2 ビットコインの魅力
図2 ビットコインの魅力

(1)
は、海外送金だが、世界中に「送金手数料」が殆どかからず決済のスピードも速いこと
(2)
の「国内取引」でも、今までクレジットカードで決済すると、店側はカード会社に通常数%の手数料を支払うがビットコインなら手数料は概ね1%未満で済む。
(3)
の「送金期間」だが、これも短くて済む。
国境をまたいで銀行間でお金を受け渡しする場合、送金が完了するまで数日かかることもある。 ビットコインでは、利用者同士がネットを使って直接やり取りをするため、一瞬で相手方に届くんだ。
電子メールと同じ感覚なんだね。
(4)
「価格」だが、価値が変動し高騰するんだ。その変動の大きさも多くの人を引き付けているんだよ。これは「金相場」に似ているね。
そのことは、図3のグラフをみればよく分かるだろう。
補足もよく読んで欲しいが、赤矢印線で示したように、2013年1月と12月では、たった1年で100倍にもなったんだ。

図3 ビットコインの対ドル相場の推移
図3 ビットコインの対ドル相場の推移
出典・引用:Livedoor Newsに加筆して作成

<補足>

(1)
:2013年3月中旬〜4月中旬:キプロス危機で資金がBTCに流入
(2)
:2013年10月14日:ネット検索大手「百度(ハイドゥ)」がBTCを決済通貨として採用する。
:2013年11月18日:米FRBのバーナンキ議長が書簡で「(仮想通貨)は長期的に有望」と発表
:2013年12月4日:1BTC=114ドルを記録
:2013年12月5日:中国人民銀行が国内金融機関にビットコイン取引を停止
:2014年2月7日:主要取引所「マウントゴックス」が換金などの業務を一時停止
(3)
:2月28日:マウントゴックス社破綻(東京地検に民事再生法適用申請)114億円消失。

Iちゃん

うわー。凄いわね。

Pパパ

うん、もっと凄い例もある。
極端な例だが、初めてビットコインで購入された商品は、2枚のピザで代金は「1万BTC」だったが、現在は日本円で1億5797万円に相当する額になっているんだよ。

Iちゃん

えーっ!嘘でしょう!
物凄くリスキーね。

Pパパ

そう文字通り「リスキー」で「管理者無き仮想通貨」とも言われているんだよ。
このことも後からゆっくり説明するね。

小野田君

ビットコインの発行や取引についても教えてくれませんか。

Pパパ

そうだね。
項目的に整理して説明すると

1.
円やドルなどの一般通貨は、国の信用を裏づけに中央銀行が発行して、量の管理も行っているよね。
2.
それに対して「ビットコイン」は、「国の後ろ盾を必要としない新しい通貨を作る」という発想に基づいているんだ。
つまり、さっき言ったように「発行者や管理者がいない」んだね。

Iちゃん

ちょっと、口を挟むけど、一体全体誰が考え出したの?

Pパパ

図4 発明者は正体不明
図4 発明者は正体不明

うん、それはね。
小野田君が言う5年前の2009年ごろ「サトシ・ナカモト」という「37才の男性」が発明したとされているんだが、正体は不明なんだ。

Iちゃん

へーっ。なんか怪しい感じね。

Pパパ

説明を続けるよ。

3.
発行量の上限が「2100万BTC(約1兆1717臆円)」と決まっているんだよ。

Iちゃん

また、口を挟むけど、その上限は誰が監視するの?

Pパパ

うん、それはね。
ネット上のプログラムが発行量を管理しているだけなんだ。
この上限があることは、通貨というより実物資産の「金」に似ているだろう。
つまり採掘(発行)が進めば残りの埋蔵量は減っていく、というわけだ。
説明を続けるよ。

4.
毎日、10分毎に平均25BTC発行されていて、約1240万BTCが出回っているんだね。
2014年頃上限に達するといわれている。
5.
BTCは取引所から購入するのが一般的なんだ。
後で話すが「マウンドゴックス社」もその1つだ。大手の取引所は6つあるが、そこに専用口座を設けると、円やドルに交換することが可能になるんだね。

Iちゃん

ビットコインを持っている人は、どんなふうに使うのかな?

Pパパ

「専用口座」に蓄えられているBTCは「ウォレット(財布)」と呼ばれるんだ。
愛ちゃんの銀行口座なら、さしずめ「預金残高」といったところだが、ここから「ダウンロード」すると「ウォレットからの出入金」ができるんだね。

Iちゃん

使い方は分かったけど、現実に使えるお店ってあるの?

Pパパ

うん、食事や買い物の際に、ビットコインで支払いができる店舗は、日本では飲食店や語学学校など十数店 なんだが、欧米にはすでに数百店舗があるそうだ。
日本の東京港区にあるレストラン「ピンクカウ」では、毎週数人がビットコインで代金を支払っていると聞くよ。

Iちゃん

それで支払いは簡単にできるの?

Pパパ

図5 スマホで支払い
図5 スマホで支払い

そうだ。とても簡単なんだね。
かかった料金を店舗がQRコードに変換してパソコンやi-Padなどの端末に表示すると、客がスマホをかざして読み取るんだ。
それで即座に支払いが完了する。
所要時間は現金支払いとほぼ同じくらいだね。

Iちゃん

「ビットコイン」について大体分かってきたんだけど、その「マウントゴックス社の騒ぎ」について教えてくれない?
新聞だと、確か「114億円消失か?」って書いてあったけど。

Pパパ

破綻は、2013年2月28日だった。
愛ちゃんの言うとおり、消失額は直前のレートで114億円に相当するそうだ。

Iちゃん

「消失」ってどういうこと。
現金ではないんだからドロボーにでも襲われた「盗難」でもないでしょうに。

Pパパ

その通りだがビットコイン社のマルク・カルプレス社長は「盗難」としているんだよ。
同社のシステムの欠陥がハッカーの攻撃でアットいう間に盗まれた「サイバー空間の盗難劇」と記者会見で話しているんだ。
その後の情報*1では、マウント社に対して「DDoS攻撃」*2が、何と「毎秒15万回」もあったそうだ。そして2月28日に経営破綻したわけだ。

Iちゃん

えーっ。攻撃を受けたのは、日本のマウント社だけなの?

Pパパ

いや海外の数社も被害をうけたね。

小野田君

それって、どこに消えた(盗まれた)んでしょうか?

Pパパ

そうだね。まだ分かっていないが、ビットコインの取引記録は公開されているので、詳細に分析可能で見つけ出せる可能性があるとは思うね。
今後の推移を見守りたいところだ。
しかし、85万ビットコイン分もの大量のデータを気付かれないように盗み取るのは、技術的に非常に難しいと思う。
「ハッキング被害 」という同社の主張を検証すべき、という意見もあるがあるのもうなずけるね。

小野田君

最初に「ビットコインの魅力」について聞きましたが、ここまでの説明で課題というか問題点ありますよね。私の理解で、課題を上げると、3つあるように思います。(図6)
それは、
(1) 不安定な価値図6 ビットコインの課題
(2) 利用者保護のためのしくみが未整備
(3) 犯罪の温床になる恐れ
といったところ、と思いますが・・・。

Pパパ

図6 ビットコインの課題
図6 ビットコインの課題

そうだね。
そのとおりだ。
国の管理下にないビットコインが増えると、各国が単独または協調して行う為替介入や金利の上げ下げな どの経済・金 融政策の効果も薄れかねない。
仮想空間で新たに生まれた「マネー」を巡り、金融機関による規制や監督の動きが広がる可能性がありそうだね。

小野田君

そうすると今回の事件の影響もあって、ビットコインの世界は衰退していきますか?

Pパパ

そうだね。
いろいろ変化していくだろうね。各国で金融機関の規制や法的な面を含めていろいろ検討されているが、マウントゴックス社の取引停止は、他の取引所の売買には直接的な影響はないようだし、利用者は減らないだろうと言う見方が大勢のようだね。
また、日本を始め世界各国で、規制を含めたいろんな動きが出てくるだろうから、その辺も注視していきたいものだ。

小野田君

お父さん。
最近の新聞に主な国の動き(表1)と日本政府の見解が出ていました。*1

Iちゃん

日本政府の見解ってどんなこと?

小野田君

6項目あってね。
1.日本や外国の通貨ではない
2.ビットコインを決済で使った取引は課税対象になる。
3.銀行の本来業務にはビットコインの売買の手数料や講座の開設は含まれない
4.銀行の付随業務の可能性はある。
5.債務の返済に使うことを禁止する法律は無い
6.証券会社はファンドの投資対象にできる。
といったところです。

表1 ビットコインについての各国の状況と対応(2014年2月現在)
国名 対応
日本 ビットコイン社と政府対応を本文で解説
ドイツ・カナダ・ノルウェー 課税対象に。ドイツは規制導入を示唆。
アメリカ FRB議長が「監督もしくは規制する権限を持たない」
と発言。一部の州がルール作りに意欲。
中国 中国人民銀行が国内金融機関に取り扱いの禁止を通達。個人は売買自由。
ロシア ロシア検察総長室がビットコインは違法と表明。取引を事実上禁止。
カナダ フレックスコイン社。3月2日サイバー攻撃で6000万円相当が盗まれ、同4日取引停止。
スロベニア ビットスタンプ社。2月11日サイバー攻撃で一時取引停止。
シンガポール 全事業者をマネーロンダリング(資金洗浄)などを取り締まる規制の対象とする
フランス 業者許可制を導入。

Iちゃん

ありがとう。
私のお願いで始まったけど、とてもよく理解できたわ。
態度が大きくて気が引けるけど、私、WindouwsXPサポート期限のことでPCを買い換えるんですけど、今のPCを捨てるとき、何か問題があるか教えて欲しいの。

Pパパ

はいはい。我侭お嬢さんのご要求に対応しましょう。

*1
今朝の新聞:読売新聞2014年3月6日朝刊と2014年3月9日朝刊
*2
DDos攻撃:「ディードスと読み、コンピュータウィルスで多数のコンピュータを乗っ取るなどして、標的のサーバーに対して、一斉に大量のデータを送りつけて機能を麻痺させるサイバー攻撃。通常の通信と区別しにくく対策が難しい。(Distributed Denial of Serviceの略。

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