CASE STUDY
MediaSpaceコンシェルジュがつくる、
日立建設設計の新しいエントランス
受付システムの多くは「無人化・効率化」で語られます。しかし日立建設設計様が選んだMediaSpaceコンシェルジュは、総務の受付業務を効率化すると同時に、来訪者の待ち時間を“自社の魅力を伝える時間”に変えました。「受付」と「情報発信」を一台で両立する——それが、この事例の核心です。
| お客さま名 | 株式会社 日立建設設計様 |
|---|---|
| 業種 | 建築および付帯設備の企画・設計・監理/海外プロジェクトのエンジニアリング/ファシリティマネジメント/各種コンサルティング |
| 提供サービス | デジタルサイネージ一体型受付システム「MediaSpaceコンシェルジュ」 |
MediaSpaceコンシェルジュは、デジタルサイネージによる情報発信と来客受付を一体化し、Microsoft Teamsを通じて担当者や関係者へ来客をリアルタイムに通知する受付システムです。
エントランスは来訪者が最初に自社に触れる場でありながら、ビル内テナント共用の汎用的な受付システムがあるだけで、設計事務所としての実績や想いを伝える機能がなかった。
来客のたびに総務が担当者への取り次ぎや1階までの出迎えに対応。加えて、人事異動ごとに数百名規模の従業員データを手作業で更新する運用負荷も大きかった。
受付の大きな横型画面に自社の建築実績を流し、待ち時間に来訪者へ自社の魅力を伝える発信拠点とした。
来客通知を担当者や関係者グループのスマートフォンやPCへリアルタイムに通知。総務による電話取り次ぎや担当者への連絡が不要になり、来客対応に伴う業務中断を削減した。
株式会社日立建設設計様は、物流施設・倉庫、データセンター、工場・生産施設、官公庁の施設や学校など、多彩な建築設計や工事監理を手がける歴史ある一級建築士事務所です。
今回の受付システム刷新のきっかけは、オフィスのワンフロア移転でした。荒木さんは、その動機を次のように振り返ります。
「以前入居していた神田のオフィスでは、事業統括本部、品質保証統括本部、営業統括本部、経営管理本部の各部門が4つのフロアに分かれていました。それぞれの階に社員が散らばっているため、他フロアにいる社員とちょっと話したいときに不在だったり、電話がつながらなかったりと、部門間のコミュニケーションや業務効率の面で少なからず課題を感じていました。
また、ありがたいことに毎年多くの人財を採用しており、出社率向上やこれからの成長を見据えると、現在の環境では手狭になることが予想されました。そこで、お互いの顔がすぐに見え、連携を強化できるワンフロアへの移転を決意しました」
部門間の連携を強め、成長を支える働き方へ——この移転構想が、エントランスと受付のあり方をゼロから見直す出発点になりました。
同社がめざしたのは、単なる移転ではなく、一級建築士事務所としての設計技術とこだわりを詰め込んだ、新しい「エントランス・受付空間」の構築でした。
「一級建築士事務所として、私たちの働く姿をご来客の方へオープンにお見せできる空間づくりを意識しました。エントランスに入った瞬間に『この会社なら安心して設計を任せたい』と感じていただけるような仕掛けをちりばめ、メーカー様との打ち合わせや外部へのプレゼンテーション、イベントなどにも活用できる多目的かつ開かれた場所にしたいと考えました」
この“開かれたエントランス”という発想こそが、後に「受付を効率化するだけでなく、自社の魅力も発信したい」というシステムの要件へとつながっていきます。
エントランス全体のデザインにおいては、武田さんがグレースケールでそれぞれ異なる素材感をもったデザインを提案・実装しました。
「一見、シンプルで直線的な構成ですが、エントランスにおける人の流れや打ち合わせスペースのゾーニングを整理した結果として、床と天井には有機的な意匠を取り入れました。さらに、設計者が働く様子がガラス越しに感じられる計画とすることで、エントランス空間そのものだけでなく、当社らしさを感じていただけるエントランスを目指しました」
と武田さんは語ります。
さらに、SDGsやサステナビリティが重視されるなか、日立建設設計様では、オフィスづくりにおいても環境負荷の低減を意識した取り組みを行いました。
「現在のオフィスは、もともと別の用途で使われていた居抜き物件です。本来であれば、前テナントがまっさらな状態へ原状回復を行ってから入居しますが、サステナビリティの観点や、お互いの原状回復費用・入居費用を最適化するため、あえて使える部分はそのまま生かす方針を採用しました。既存の照明器具なども有効に活用しつつ、費用負担に配慮しながらも、当社らしい意匠性と遊び心に満ちたオフィスを構築しました」
と、加藤さんは振り返ります。
新しいエントランスづくりを進めるなかで、従来の非効率な受付オペレーションの見直しも大きな焦点となりました。
以前の受付システムはビル内のテナントで共用しており、従業員の携帯につなげるだけのシンプルな構成でした。そのため、従業員への携帯につながらないたびに総務担当者が該当者に連絡を入れ、わざわざ受付まで迎えに行く対応を行っていました。
「最も課題だったのは、担当者が離席や会議中で内線に出ないときの再取り次ぎです。総務が担当者を探し回るために本来のコア業務が何度も中断され、生産性の損失が生じていました。さらに、担当者が見つかるまでの間、お客さまをエントランスで長く待たせてしまうことになり、対応の遅れによる時間的な機会損失や、ホスピタリティ低下の懸念を抱えていました」
と荒木さんは振り返ります。
また、年に数回訪れる職制改正・人事異動への対応も頭を悩ませていました。数百名規模の従業員情報を、そのつど、手作業で受付端末に登録し直さなければならず、このデータの再設定と管理にかかる総務の時間的・コスト的な負担が非常に重荷となっていました。
そうした従来の非効率な作業や属人化を排除し、スマートかつ効率的に稼働する新しいシステムへの移行を検討するなかで、日立建設設計が相談したのが、日立システムズフィールドサービス(以下FS)でした。
日立建設設計様が受付システムの相談をするにあたり、単に受付を効率化するだけではない、大きなこだわりがありました。それは、設計事務所としての独自の「表現力」と「発信力」でした。
「せっかくエントランスにシステムを配置するのであれば、単なる来客通知の機械としてではなく、私たちのこれまでの作品や設計に対する情熱をアピールできるデジタルサイネージ(電子看板)の役割も持たせたいと考えました。
他社のシステムには設備制御まで連動する複雑なものもありました。一方、『MediaSpaceコンシェルジュ』にはアバター接客のような高度な機能も用意されていますが、私たちが求めていたのは『実績をきれいに見せられるサイネージ機能』と『スマートな受付システム』という要件です。目的に合わせてあえて機能をシンプルに構成し、無駄なくスマートに運用できた点が、導入の大きな決め手でした」
と、加藤さんは振り返ります。
自社の実績アピールを最大化させるため、画面の配置にもこだわりました。日立建設設計様が手がけた建築写真や動画は、横型ディスプレイで見せる方が、美しく魅力的に映えます。FSは縦型ではなく、あえて「横型」での表示とシステム設計を提案。このきめ細かな意図のくみ取りが、大きな信頼につながりました。
「受付の大きな横型画面に、私たちのこれまでの建築作品の実績を流しています。待ち時間にお客さまを退屈させず、楽しみながら私たちの理念や魅力に触れていただける、まさに生きた情報発信の場として『MediaSpaceコンシェルジュ』が適していました」
と荒木さんは語ります。
「オフィスの移転に合わせた導入だったため、検討や調整にかけられる時間は限られていました。移転に間に合わせるため並行して準備を進める必要がありましたが、社内での意思決定は極めてスムーズでした」
と、加藤さんは振り返ります。
受付システムにかける初期費用やランニングコストの面でも、多機能すぎて高額なシステムは避けたいという同社のニーズに対し、『MediaSpaceコンシェルジュ』の必要機能に絞られたコスト感が合致しました。
また、オフィス移転時点では開発中だった機能(内線通話・外線通話機能など)もあったため、まずはベースの機能からスモールスタートし、数カ月後に段階的に追加する「2段階導入」を選択。限られたスケジュールに合わせて、双方柔軟に対応していく計画となり、検討の結果、外線通話機能を採用することになりました。
導入に向けたやり取りの中で、加藤さんが最も印象に残っているのは、FSの「柔軟な対応力」だといいます。
「単に提案を待つだけでなく、こちらからも『こういった使い方はできないか』とアイデアを提案させていただきました。それに対して、FSさんからも『それなら、このように表現すればもっと良くなります』と、ノウハウを交えた具体的な意見を柔軟に返してくれました。一方的なシステム導入ではなく、まさに一緒に作っていってくれた感覚があり、そのプロセスの柔軟性は非常にありがたかったです」
と、加藤さんは語ります。
① 来客 → 従業員の携帯電話
② 来客 → 従業員の携帯電話(つながらない) → 総務対応 → 社内担当者を確認 → 担当者へ連絡 → 1階まで出迎え
来訪者が受付端末を操作 → Teamsで担当者・関係者へ同時通知 → 対応できる人が出迎え
現在、来客の際にはOutlookのスケジューラーと連携させて取得した会議情報をもとに、主予約者のスマートフォンやPCへ直接Teamsを通じて通知が届きます。画面をタップするだけで関係者すべてに連絡がいくため、双方にとって手間がかかりません。
「ご来客があった際は、会議参加者として登録されている関係者全員に、Teamsで同時に通知が届きます。そのため、担当者が打ち合わせや会議中、外出時であってもグループの誰かがすぐに気づき、スムーズにお出迎えに向かうことができるようになりました。
以前のように総務がわざわざ取り次いで担当者を探し出し、電話をかけ、さらに1階の受付まで迎えに行く——こうした受付対応に伴う手間と業務中断の軽減につながりました」
と、荒木さん。
これにより、総務による電話取り次ぎや担当者を探し回る手間が不要になりました。担当者の離席による「取り次ぎ中の機会損失」や、来訪者を長く待たせてしまう時間的ロスも解消され、エントランスでの対応スピードが向上しました。
さらに、総務を悩ませていた人事異動時のデータメンテナンスも、Microsoft Entra IDとの連携によって軽減されました。
受付システムが、Microsoft Entra IDの利用者情報を参照する仕組みのため、従業員情報の変更が受付システムにも反映されるようになり、総務が手作業で行っていた登録作業の負担が軽減されました。
システムが定着した現在、日立建設設計様は、このエントランス空間をさらにアップデートしていきたいと考えています。
「導入後、総務チームや社員一同から『受付が非常にスマートになり、日々の業務に集中できる時間が増えた』と好評です。しかし、この状態で満足してずっと使い続けるつもりはありません。
ゆくゆくは、流しているサイネージのコンテンツの更新を『社内公募』という形で行い、若手社員に自社の実績紹介コンテンツのアイデアを考えてもらおうと思っています。若いメンバーのクリエイティビティを発揮する機会になると同時に、社内コミュニケーション活性化の新たなきっかけとしても活用していきたいですね。このエントランス空間が、私たちの成長とともに変化し、常に新しい驚きを発信し続ける場所となることを期待しています」
と、加藤さんは語ります。
部門をつなぐワンフロアへの移転から始まり、受付を効率化し、同時に企業の魅力を発信する——。
MediaSpaceコンシェルジュは、単なる来客対応の自動化にとどまらず、エントランスを「企業価値を伝え、人がつながる場」へと変えていきます。それは、これからの“働く場づくり”を支える、最初の一歩でもあります。