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Hitachi

株式会社 日立システムズフィールドサービス株式会社 日立システムズフィールドサービス

搬送ロボットで省力化、社会課題解決に向けた老舗企業の
挑戦を受付からオンサイトまでワンストップで支える

老舗企業の新規ロボット事業、新市場への挑戦を支える全国ネットワークの点検・受信代行サービス

中西金属工業株式会社様

金属加工メーカー
  • 全国オンサイトサポート
  • 受信代行サービス

課題

  • 全国に納品した製品の点検時の移動が大変
  • お客さまからの問合せが営業担当に集中し属人化してしまう
  • 営業担当が保守サービスの対応で受注活動ができない

ソリューション

  • 全国拠点から技術者を派遣し点検を代行、業務負担を軽減
  • コンタクトセンターで問い合わせ対応を行い、顧客満足も向上
  • お客さまは営業・開発の本来業務に注力、さらなる事業成長に貢献

創業100年のメーカーが、
新たなロボット開発に挑む理由とは?

中西金属工業 光川竜右様 中西金属工業 光川竜右様

JR大阪駅からわずかひと駅、全長約2.6qと日本一長い天神橋筋商店街が有名な「天満」駅からほど近い中心地に立地する中西金属工業様は、創業100年の歴史を誇るベアリングメーカーだ。
長年にわたり蓄積してきた技術力はもとより、その進取の気風に富んだ企業風土から、新たな事業が次々と生み出されている。「ずっと同じことをやっていると、変化を加えろと言われるんですよ」と、輸送機事業部の技術開発責任者で広報も担う光川さんは笑う。

自動車製造ライン、いわゆる「コンベア」による搬送設備とシステム関連の事業を軸とした輸送機事業部は、「はこぶ技術」を提供することで、自動化された「未来の工場」の実現をめざしている。

こうした中で取り組んできたのが、搬送ロボットの開発だ。「ロボットが自身の位置を認識して動くSLAM技術*を、先行して搭載されていたお掃除ロボットから学び、応用しようと考えたのです。」と光川さん。その過程でスイス製のお掃除ロボット「ROBO Cleaper(ロボクリーパー)」をまず取り扱うことが決まった。

中西金属工業様の主要顧客は自動車メーカーで、現場の改善意識は高い。「それでもまだ、人力で材料や製品などを運んでいる部分があります。それらを一つひとつ省力化していけば、人手不足対策や安全性の向上につながります。」北口さんはそう話し、AGV(無人搬送車)のデモ1号機を紹介してくれた(写真右)。

無人搬送車のデモ1号機は、実寸よりやや小さめに作られた。現在は社内の一角に展示されている。 無人搬送車のデモ1号機は、実寸よりやや小さめに作られた。
現在は社内の一角に展示されている。

この自社製のフォークリフト型無人搬送ロボットは、2016年に首都圏の展示会でお披露目され、注目を集めた。現在では開発が大きく進展し、多様なAGV製品として世に送り出されている。例えば、無人搬送ロボット「ROBO Rook」、そして複数の製品を組み合わせて荷役・仕分・保管を自動化する「ROBO Carry Rack」などだ。

*SLAM(Simultaneous Localization and Mapping):ロボットなどの移動体が、自身が今どこにいるのかを推測する「自己位置推定」と、その周辺がどういう状況にあるのかを把握する「環境地図作成」を同時に行う技術のこと。

工場や物流施設、多様な現場で活躍を始めた
ロボットの新たな課題

ROBO Carry RackやROBO Rookは、メーカーや流通大手の顧客層に導入されている。一方、お掃除ロボット・ROBO Cleaperの取り扱いも、鉄道会社などの新規顧客層に拡大していった。

「北は北海道から南は九州まで、ビジネスは広がりましたが、製品の点検を実施できるのが事業部の社員だけだったため、自ら全国を飛び回ることになりました。しかしながら、点検が必要なタイミングで社員のスケジュールが合わないと、お客さまへの声かけ自体が遅れ、保守の空白期間が生じてしまいかねない状況でした。」と光川さんは振り返る。

さらに、業界によっては24時間稼働が当たり前で、深夜にお客さまから問い合わせが来ることもあったという。営業担当が保守サービスの対応で受注活動ができないというジレンマに陥ってしまっていた。

自動倉庫ROBO Carry Rack(左)無人搬送ロボットROBO Rook(右) 自動倉庫ROBO Carry Rack(左)無人搬送ロボットROBO Rook(右)

全国に販売したロボットの点検業務を委託、
お客さまの満足とサービス品質の向上を実現

そんな中出会ったのが、日立システムズフィールドサービス(以下FS)だ。「全国対応可能な保守サービス網を活用し、まずはROBO Cleaperの点検業務を委託しました。初期の要件定義から点検マニュアルの作成に至るまで、技術力と対応力の高さに驚かされました。当社の技術者から部品名称や点検手順を丁寧にヒアリングし、誰でも理解できる形でプロセスを「見える化」できた点は非常に大きな成果です。実際の点検業務も安心してお任せでき、報告書も丁寧で、お客さまからの信頼にもつながっています。クレームは確実に減少し、品質向上にも大きく寄与しています。」と、光川さん。

FSで営業担当を務める遠山は、「お客さまの課題に寄り添いたいというのが私たちの一貫した考え方です。FSの強みは、全国対応可能な保守サービス、現場駆け付け、さらにはコンタクトセンター事業というワンストップのサービス。これらをフル活用して、課題解決そして業務拡大にも貢献していきたいですね。」と力を込める。

お掃除ロボット・ROBO Cleaper。赤いボディをベースに、デザインはお客さまの希望に合わせてカスタマイズして提供している。 お掃除ロボット・ROBO Cleaper。赤いボディをベースに、デザインはお客さまの希望に合わせてカスタマイズして提供している。

顧客は製造業から流通業界、そして
さらに拡がるビジネスのパートナーとして

現在では、大型の物流センターで32台、機械メーカーの工場で24台が稼働しているROBO Carry Rackの点検もFSが担っている。「お客さまから、24時間365日対応の問い合わせ窓口開設のご要望があることは確かです。それに応えていくには、FSさんのご協力が不可欠だと考えています。」(光川さん)

歴史ある工場の一部をリノベーションして作られたコミュニケーションルーム。アートやサステナビリティへの取り組みの展示も。 歴史ある工場の一部をリノベーションして作られたコミュニケーションルーム。アートやサステナビリティへの取り組みの展示も。

休日夜間を問わない不具合対応が実現すれば、さらなる顧客層の拡大も見込める。そこで光川さんはFSと連携し、24時間365日対応の開始に向けて動き始めている。一次切り分け、一次回答、現地駆け付け対応までをワンストップでFSがサポートする計画だ。

100年の歴史に安住することなく、新たな挑戦を続けるものづくり企業。そのアイデアの源泉は、どこにあるのだろうか。その一端が、歴史ある建物をリノベーションしたコミュニケーションルームに垣間見えた。カフェやバーのような空間には、インスピレーションを刺激する多様なアートが飾られている。ここでは事業部を超えた社員同士の交流も盛んだ。

いま日本は、少子高齢化・人口減少という大きな課題を抱えている。「人手不足で優良企業が黒字倒産するといった事態は、ぜひとも避けなければなりません。省力化にはさまざまな解決策がありますから、抱え込まずに相談することが大切だと思います。」と光川さん。日本の自動車産業の成長を支えてきた技術力とチャレンジ精神で、中西金属工業様は社会課題に立ち向かおうとしている。その挑戦をFSが全国のフィールドから支える。日本のインフラを支える覚悟と、新たな成長へと向かう大きな夢がそこにはある。

コミュニケーションルームの一角に備えられた交流スペース。動画が常時上映されている。奥に見えるのは、社員”猫”の専用ルーム。 コミュニケーションルームの一角に備えられた交流スペース。動画が常時上映されている。奥に見えるのは、社員”猫”の専用ルーム。
日立システムズフィールドサービス

(中央)中西金属工業 輸送機事業部 技術開発部 部長 光川竜右様(右)中西金属工業 輸送機事業部 企画部 技術開発グループ 北口 亮一様(左)日立システムズフィールドサービス 遠山裕樹

課題に対していかに現状の負担を軽減できるか、積極的にご提案させていただくことで、中西金属工業様の事業拡大に貢献していきたいと考えています。

日立システムズフィールドサービス
営業担当 遠山

本記事は2025年9月、中西金属工業株式会社様への取材に基づき、ライターが執筆しました。