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IちゃんとP(パパ)小野田君の会話が続きます。

イラスト

Iちゃん

パパ、今日も「光の道」のお話の続きを聞けるんだったわよね。


Pパパ

そうだね。
今日は「光の道」構想の「基本方針の要点」と「今年のポイント」について話そうと思うが、どうかな?少し長い話になるがね。

小野田君

はい、要点も今年のポイントも聞きたいですね。


Pパパ

要点は、大きくは4つある。(図1)
これは、作業部会(注1)でまとめたものだが、それを解説しながら、直近(今年)のポイントについても説明しよう。

小野田君

いいですね。お願いします。


Pパパ

まず、大きな4つのポイントは、図1のようなものだ。中身は難解だから、ポイントを話すね。

図1 「光の道」構想の基本方針
図1 「光の道」構想の基本方針

(1)の「料金値下げの施策」では、NTTが持っているアクセス回線(注2)や中継回線のオープン化、つまり、他の事業者との競争を促進させるとか、加入光ファイバ接続料の低廉化をしてFTTH市場の活性化を図ることなどだ。

小野田君

それって、前から聞いていますが、計画は進んでいるんですか?


Pパパ

そうだね、今年のポイントが2つある。
1つは、「料金を安くするための競争環境の整備」で、もう1つは、「どんなNGNをアンバンドル(注3)するか?」なんだ。
前者は、事業者間の設備競争を維持したまま、どのようにサービス競争を拡大するか?とか、モバイルとFTTHはどこまで競争可能か等がポイントになるね。

後者は、NGNとアクセス網のオープン化で、どんなサービス競争を作るのか?といったところだ。

小野田君

(2)の「NTTの在り方」って、何のことですか?
NTTが何か変わってしまうんですか?

Pパパ

図2 NTTの在り方
図2 NTTの在り方

NTTの在り方は、以前から議論されていてね。(注4)
4つの考え方があったんだ。新聞や雑誌を読むときなどの用語の勉強にもなるから説明するね。

1)は、「現状維持」で「現状のまま,持ち株会社の傘下に事業会社を置く形」
2)は、「機能分離」で「NTTの中でも特に独占性の強 いアクセス部門を,英BTのように機能分離する、つ まり、分社化せずに他部門との間で人事・情報・会計の区切りを明確化する「機能分離」形
3)は、「構造分離」で公開ヒアリングなどでソフトバンクが主張した、NTTのアクセス部門を組織分離する形
4)は、「資本分離」で、NTTの持ち株会社を廃止し,NTTの事業部門ごとに完全に資本分離する形

なんだ。つまり、1)は現状維持だから、残りの3案が検討されたんだね。

結論を急ぐと、「光の道構想」の中では、懸案となっているNTTの在り方については、NTT東西のアクセス回線部門について人事・情報・会計の壁を設ける「機能分離」が現実的としたんだよ。具体的な日程は決まっていないがね。

小野田君

中身を教えてくれませんか。


Pパパ

NTT東西の「ボトルネック設備保有部門を機能分離する」という表現だが、これを分かり易く説明すると、ボトルネック設備(注5)とは、NTTが電電公社時代に国民の負担で構築された「固定系アクセス回線」のことで、構造分離や資本分離ではなく、また、NTT東西の組織見直しは行わずに社内での分離を行う「機能分離」になったということだ。
補足すると、「設備競争やサービス競争の促進、国民のアクセス権の保障、グローバル競争への対応、NTT株主への影響、実現のための時間やコストといった観点から検討した結果、合同部会としてはNTT東西のアクセス回線保有部門について、その他の部門との間で人事・情報・会計などのファイアウォールを厳格化するのが「機能分離」なんだね。

小野田君

今年の動きとかポイントは何ですか?


Pパパ

そうだね。

・NTTへの規制強化の是非
・「機能分離」に決まったが、具体的にどのように実現するのか?
・NTTはFMCサービス(注6)を提供できるのか?
・NTTは、どのようにして今後の成長戦略を描くのか?

といったところが今年のポイントだと言われているんだ。

小野田君

(3)の「今後の競争原理整備」って何ですか?


Pパパ

そうだねー。「今後の市場環境変化への対応」ということだが、総合的な市場支配力に着目した規制(SMP)(注7)は継続検討することになっている。

小野田君

これは、総務省の仕事ですね。


Pパパ

そうだね。総務省が「権限強化するのは時代に逆行していないか」とか「現在のボトルネック規制からSMP規制への転換法」などを検討していくのが、今年のポイントかな。

Iちゃん

最後に口を出すわね。(笑い)
(4)「残り10%の整備の方法」って何のこと?

Pパパ

前に勉強したこと(前々回)を思い出してくれよ。
「“光の道構想”は、インフラの整備率90%を100%に向上させるのが目標」ってこと覚えていないかい?

Iちゃん

あーあー。そうでした。(笑い)

Pパパ

その「整備率向上」のことだよ。
その基本は「公設民営方式」といわれる方法で実施されるんだ。 「公設民営方式」とは、需要が少なく採算の取れない地域のインフラ整備を地方自治体などがアクセス回線を整備するコストを負担し、運用を民間の通信事業者に委託する方式のことだ。

Iちゃん

それは大変ね。地方の財政問題があるのではないですか?


Pパパ

ほほう、最後に口を出して核心を突くねー。(笑い)
そのとおり、地理的条件や経済後理性(財政面)から、無線ブロードバンドなども代替的役割になるね。

小野田君

今年のポイントは何ですか?


Pパパ

図3 デジタルデバイドとは
図3 デジタルデバイドとは

デジタルデバイド(注8)対策だね。
それには、光IP電話(NGNも)進んだ地域では、メタルを先行撤去し、二重投資を避けることができるか?とか、効率化を促す具術の進歩は進んでいるか?固定と無線の効率的な使い分けは?とかいったことが課題になると思うね。

小野田君

そうですね。
「光の道」構想も、今度の「東日本大震災」の国家的ダメージで影響を受けるかもしれませんね。

Iちゃん

そうだ!
次回のテーマは、「今度の大地震や原発事故と通信(電話)について」にしない?
「災害とIP電話」って言うテーマでもいいかな。
パパ、固定電話、携帯電話、PHSのどれを活用したらいいか、知恵を貰いたいな!

Pパパ

はっはっは。いいとも。
可愛い娘の頼みではしかたないね。(笑い)
タイムリーでもあるから、災害に切り口をおいて、「加入電話」、「IP電話」、「PHS」、「携帯電話(スマートホン含む)」を研究してみよう。

(注1)
作業部会:総務省が有識者で作る部会で情報通信政策を検討する。
(注2)
アクセス回線:電話局から加入者までの回線のこと。以前は加入者線とも呼んでいた。最近はメタル回線を除くブロードバンド回線を「ラストワンマイル」と呼ぶことが多い。
(注3)
アンバンドル: 一般には,元々セットで提供されているものを別々に提供することを いう。ここでは、網機能を細分化することを言う。特にNTT東西地域会社が同社のアクセス回線の機能を,加入者回線や市内伝送などに細分化する場合に用いる。1997年6月に電気通信事業法が改正され,NTT(当時,現在はNTT東西地域会社)はアクセス回線をアンバンドルし,個々の機能をほかの事業者が利用できるようにする義務が法的に課せられた。
(注4)
NTTの在り方の議論:2006年ごろから竹中平蔵総務大臣直轄の私的懇談会「通信・放送の在り方に関する懇談会」等で議論されてきた。
(注5)
ボトルネック設備:あるサービスを供給するのに不可欠であるが、投資の絶対額が大きいなどの理由で新規参入事業者が自ら整備・創出することが困難な施設や資源をいう。電柱や加入者線など,電気通信サービスを提供する際に必ずないと困る性質を「ボトルネック性」といい、アクセス回線や電柱などをボトルネック設備ともいう。総務省はボトルネック性のある設備を「指定電気通信設備」と定めている。
(注6)
FMC:Fixed Mobile Convergenceの略。携帯電話を社内では内線として使い、社外に持って出ても公衆用携帯端末として使えるシステム。このコラムの第33回で解 説済み。
(注7)
SMP:Significant Market Powerの略。「支配的事業者規制」と呼ばれるが、内容は確定していない。「“競争阻害行為”が無くても、市場成果が極めて良好な事業者にハンディキャップを負わし、「少しは遠慮せよ」というような規制になってはまずい」という意見もある。
(注8)
デジタルデバイド:パソコンやインターネットなどの情報技術(ICT)を使いこなせる者と使いこなせない者の間に生じる、待遇や貧富、機会の格差のこと。個人間の格差の他に、国家間、地域間の格差を指す場合もある。

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