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Hitachi

I(愛)ちゃんとP(パパ)とO(小野田君)の会話が続きます。

イラスト

Iちゃん

今日は「無線LAN暗号の脆弱性の話」だったわよね。
また、小野田君の担当だったわね。このところ出番が多いわね。

小野田君

うん、そうだね。
でも、自分で調べたりすると勉強になりますね。
愛ちゃんも積極的に担当したら良いと思いますが?

Iちゃん

いいの、いきなり余計なこと言わないで、本番に入ってください。
きっかけは小野田君がテレビで観たってことだけど、どういうことでしたか?

小野田君

はい。無線LAN規格に脆弱性が見つかったこと。それは世界中で使われていて最悪の場合、メールや個人情報などの情報が読み取られる恐れがあるということです。

Iちゃん

図1 脆弱性の被害
図1 脆弱性の被害

それは大変!
そもそも「無線LAN暗号」って何?

小野田君

そうですね。
無線LANを導入するとき、心配になることの一つが「セキュリティ」です。特に最近問題となっているのが「WEPキー(*1)を盗聴・解読するソフトウェア」です。

Iちゃん

それで?

小野田君

無線LANのセキュリティには色々な手法があるんですが、一般的に行われているのが「通信の暗号化」なんですね。
アクセスポイント(親機=無線ルーター)と子機(PCやスマホ等)の間の信号を暗号化することで、やり取りされている情報の内容を秘匿するのです。
無線LANを利用する上で「暗号化」は必須と考えるべきなんですね。
無線LANの暗号化技術には、3種類(①AES、②TKIP、③WEP)あり、さらにWi-Fiにもその暗号化方式に3種類ほどあり(図2)、一番強固と言われている「WPA2」に今回脆弱性が見つかったんですね。

Iちゃん

そういった暗号化の目的は何なの?

小野田君

それは「無線LANへの接続を認証する役割」で、有線LANと違った特有の事情があるんです。

Iちゃん

どんな事情?

小野田君

実際に LAN ケーブルを繋いで接続する有線LANの場合と異なって、無線LAN はその電波が受信できる範囲内にいれば誰でも接続できてしまうからです。

Iちゃん

そうか、だから無線LAN(Wi-Fi)には、暗号化が必須ってわけね。
でも、その脆弱性が見つかったことは、大きな問題なの?誰が見つけたの?

小野田君

そう「深刻な問題」です。
世界中で使われていて、我が国でも総務省が注意を喚起している(*2)ほどなんですね。それで、見つけた人は誰か?という質問ですが、発見したのは、ベルギーのルーヴェンにあるルーヴェン・カトリック大学(オランダ語: Katholieke Universiteit Leuven)でネットワークセキュリティを研究しているMathy Vanhoef氏だそうで、昨年(2017年)10月16日に公表されたんですね。

Iちゃん

あら、ごく最近ね。WPA2と言うのが一番セキュリティが強固といわれていたけど、他にもあるの?

小野田君

図2 暗号化の種類
図2 暗号化の種類

Wi-Fiの暗号化を行う方法は主に3種類あります。(図2)

① WEP
② WPA
③ WPA2

です。WEPはデータを盗み見ることができる技術的な脆弱性が見つかったため、安全性を高めた新規格が必要となりました。そこで2002年にWPAが登場し、その2年後の04年に強力な暗号化技術を取り入れたWPA2が確立されたんですね。
WPA2は現在、パソコンやスマートフォンなどのIT(情報技術)機器に多く使われています。またネット接続機能を搭載した防犯カメラなど、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」機器にも利用が広がっているんです。

Iちゃん

そうか、繰り返しになるけど、その「WPA2」に脆弱性があったのよね。

小野田君

そうです。
その影響は、NHKTVの報道(*3)では「Wi-Fiで機器同士が互いを認証する仕組みを悪用すると、通信内容を盗み見たり、不正なサイトに誘導したり、コンピューターウイルスに感染させたりすることができる可能性があるということ」です。

Iちゃん

それって対象になる端末にはどんなものがあるの?

小野田君

今回見つかった脆弱性はWi-Fiという規格の根本に関わるもので、パソコンやスマートフォンをはじめ無線でインターネットに接続するあらゆるものに影響が及ぶことになるそうです。

Iちゃん

じゃあ、メーカーも対応する必要があるわよね。

小野田君

その通りです。
もともと「Wi-Fi」というのは、アメリカに本部がある業界団体が作った無線LANの規格なんですね。それが今では、パソコンやスマートフォンからそれに家庭用の通信機器まで幅広く使われていますね。
そこで、メーカーは、今回の問題を受けて「修正用のプログラムを配布するなどの対応」をしています。

Pパパ

オフィスではメーカーが配布する修正用のプログラムを早急に適用する必要があるって事だ。また、ネット検索の時には「http:ではなくhttps」にすることだ。(*2)

Iちゃん

ところで、その他に私達一般家庭の人の注意事項が分ったら整理してくれない。
お友達に教えてあげたいの。

小野田君

家庭で出来る対処法は3つあるようです。それを表1に整理しました。

表1 無線LAN暗号の脆弱性に「家庭で出来る対処法」
表1 無線LAN暗号の脆弱性に「家庭で出来る対処法」
出典:All Aboutデジタルの資料を元に藤島作成

※1:
屋外で利用するデータ通信(3G・4G・LTEなど)で通信すればWi-Fiを利用していないので危険性はない。
どうしても心配な方は、Wi-Fiをオフにしてすべてデータ通信に頼るという手だてもある。

Pパパ

小野田君、良く調べたね。合格だ。

小野田君

それでは、次のテーマを私がリクエストしていいですか?
「ベーシックインカム」というのをテレビで観ました。
途中から見たのでよく理解できませんでした。「ベーシックインカム」について、わかりやすく教えて欲しいんですが。

Pパパ

いいとも。

*1
WEPキー:Wi-Fi(無線LAN)を利用するとき、他人に無断でアクセスされないようにする暗号化キーのこと。
*2
総務省の注意勧告:「無線LAN(Wi-Fi)暗号化における脆弱性について(注意喚起)」として、「10月16日(米国時間)、無線LAN(Wi-Fi)の暗号化規格であるWPA2における脆弱性が公開されました。現時点で、今回の脆弱性を悪用した攻撃・被害は確認されていませんが、今後、本脆弱性が悪用され、WPA2通信の盗聴等が行われる可能性がありますので、以下の対策の方法をご確認ください。」とのことで、下記が示された。
【対策の方法】
  • ソフトウェアのアップデート
    ご利用されている機器の各メーカーから修正プログラムが配布され次第、速やかに修正プログラムを適用し、最新の状態にアップデートしてください。
  • HTTPSによるサイトの利用
    クレジットカード番号や個人情報等、大切な情報をインターネット上で入力する際には、HTTPSによって暗号化されたサイト等であることを確認してください。
*3
NHKTV報道:NHKニュースシブ5時(2017年10月19日)やNHK NEWS WEB(2017.10.20)

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